ミルクもあげたし、おむつも替えたのになかなか泣き止まない…
もしかしたら鼻に汚れが溜まって、呼吸がしづらくて泣いているのかもしれません。
でも「鼻掃除ってどうしたらいいのか分からない」「小さな鼻の中を傷つけそうで心配」と思うことも多いですよね。
そこで今回は、「赤ちゃんの鼻掃除ポイント」や「鼻づまりの予防」についてご紹介します。
鼻詰まりの原因と対策
鼻づまりの原因
●原因は鼻の汚れ?
新生児の鼻に汚れが溜まりやすい理由は色々ありますが、
- ①鼻の粘膜が温度や湿度の変化に敏感で鼻水が出やすい
- ②鼻の穴が小さく分泌物やゴミが溜まりやすい
この2つが代表的な原因といわれています。
赤ちゃんの鼻づまりが悪化すると、蓄のう症や中耳炎などの発症リスクも高まるので、放置せず適切なケアをしましょう。
赤ちゃんは鼻掃除が必要
●新生児は鼻呼吸
赤ちゃんは大人と違ってまだ口呼吸が出来ません。
生まれてしばらくは胸郭が未発達なため、腹式呼吸で鼻呼吸をしています。鼻が詰まるとミルクが飲みにくくなったり、呼吸が苦しくて寝付けなくなったりしてしまいます。
そのため、こまめに鼻掃除をして、赤ちゃんの呼吸をサポートし、衛生的に保ってあげることが必要です。
●鼻の汚れは口呼吸の原因
離乳食が始まるとだんだん口呼吸ができるようになってきて、1歳前後から鼻呼吸と口呼吸を使い分けていくようになります。
しかし、鼻が詰まっているなどの理由で長期的に口呼吸が続くと、口呼吸が習慣化してしまう可能性があります。
口呼吸になると喉に直接細菌やウイルスが届きやすくなるため、感染のリスクが高まったり、口の中が乾燥することにより虫歯や歯肉炎などのトラブルを引き起こしたりするおそれがあります。
鼻呼吸を妨げないよう、定期的にケアをしてあげましょう。
鼻掃除のポイント
●新生児の鼻の汚れの取り方
汚れがカピカピに固まって取りにくかったり、赤ちゃんが嫌がって暴れてしまったりする危険性もあります。以下のポイントに注意してケアをしてみましょう。
- 加湿する
- 鼻(体)を温める
- 安心できる声がけをする
- 出ている汚れだけを取る
- 暴れたときは体にバスタオルなどを巻いて固定する
- 母乳点鼻薬をする※1
湿度が低いときや体が冷えて体温が下がっているときは、鼻水が固まったり乾燥したりして汚れが取りにくい状態になります。鼻を温めて加湿すると、鼻の汚れが取れやすくなるので、蒸しタオルやガーゼを鼻の付け根に当てて温めたり、室温・湿度を調整したりしましょう。沐浴後にケアするのもおすすめです。
また、「お鼻すっきりしようね」など声がけをして、コミュニケーションを取りながら行うと赤ちゃんも安心しますね。
嫌がって暴れてしまう場合は、タオルなどを巻いて優しく固定してみましょう。
基本的には出ている汚れを取ってあげるだけで大丈夫です。無理に奥まで全部取ろうとすると、かえって粘膜を傷つけてしまう危険性もあるので注意が必要です。 鼻の穴は鼻筋にそって斜め上に伸びているのではなく、耳の穴に向かって顔面に垂直に伸びています。あまり奥まで頑張らないよう、注意しながらお掃除してあげてください。
※1母乳点鼻薬 母乳点鼻薬とは母乳を少し絞り、細いスポイトで2~3滴赤ちゃんの鼻に入れて軽く鼻をつまみほぐして汚れを取ります。
母乳は血液からできていて、抗炎・抗菌作用が期待でき炎症による鼻づまりに効果的です。
鼻水が出ている場合は、鼻水吸引器も活用してみましょう。
ケア商品の選び方
●ケア商品(ピンセット)の選び方
赤ちゃんの鼻は小さく繊細です。以下のポイントに注意して安全に配慮された商品を選びましょう。
- 鼻の奥まで入ることを防げる形状のもの
- 先端が丸くて鋭利でないもの
- 大きすぎない、太すぎないもの(汚れを押し込まない)
- 商品自体を衛生的にお手入れできるもの
●どうしても取れないときは
ホームケアが難しい場合は無理に取ろうとせず、お近くの耳鼻咽喉科や小児科に相談しましょう。
鼻づまりが続くと中耳炎や副鼻腔炎などにかかることもあるので、お医者さんに専門的なケアをしてもうこともおすすめです。
鼻づまりの予防
●鼻づまりを防ぐために
- 室内環境を保つ
赤ちゃんの鼻づまりを防ぐには何といっても室内環境が重要です。鼻の汚れは、鼻の粘膜から出た分泌物や鼻水、空気中の塵やほこりが集まり固まってできています。空気が乾燥していたり汚れていたりすると、鼻水が乾燥して鼻に汚れが溜まりやすくなります。湿度は50〜60%、室温は20〜22度に保つことを心掛けましょう。特に冬場は乾燥しやすいので、加湿器を置いたり洗濯物を部屋干しにしたりして湿度を保てるとよいですね。また、ほこりやハウスダストが多いのも鼻づまりの原因の1つとなるので、布団クリーナーや空気清浄機を利用し、こまめに換気をして空気をきれいにしましょう。 - 鼻水をそのままにしない
鼻水をこまめに吸引してあげることで、鼻に汚れが溜まりにくくなります。鼻づまりがひどいときは新生児から使える家庭用の鼻水吸引器を使用し、詰まった鼻水を定期的に吸引しましょう。ただし新生児の鼻の粘膜は非常にデリケートなので、1~2回吸っても出てこない場合は無理やり吸引せず、病院や医師に相談しましょう。
●まとめ
赤ちゃんのうちはちょっとしたことで鼻づまりが起きやすいです。
定期的なケアで鼻呼吸をサポートしましょう。
鼻の穴は鼻筋にそって斜め上に伸びているのではなく、耳の穴に向かって顔面に垂直に伸びています。
あまり奥まで頑張らないよう、注意しながらお掃除してあげてください。
ごきげんピンセットですっきりお掃除
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監修
- 市河 茂樹(いちかわ しげき)医師社会福祉法人太陽会 安房地域医療センター
小児科部長