食の専門家【管理栄養士】の川島美由紀さんコラム第三弾です。ママへの栄養指導の際に「スプーンはいつ頃から持たせたら良いですか」とよく質問を受けるとのこと。
離乳食が上手に食べられるようになってくると「そろそろスプーンを持たせてもよいのか」「どのように練習をさせたら良いのか」悩まれるようです。
そこで、今回は、いつからスプーンを持たせたらよいのか、どのようなスプーンを用意してあげたらよいのか、についてまとめていただきました。
離乳食でスプーンを使うのはいつから?
離乳食後期 (9~11ケ月頃)ぐらいから食べ物を触ったり、握ったりすることで、その固さや触感を体感し食べ物に関心を持ち、自分で食べようとするようになります。きっかけとして、この頃から食事の際にスプーンを握らせることから始めても良いでしょう。
スプーン持ちには手指の運動機能の発達により段階があります。下のイラストのようにまずは、スプーンの柄の部分を上から握る上手持ち、次に下手持ち、その後鉛筆持ちの順序で持ち方が変わってきます。タイミングは、身体の発育・発達により個人差があります。
このように鉛筆持ちで、こぼさずに一人で上手に食べるようになるのは3歳過ぎくらいになります。焦らずに、子どものやってみたい気持ちが起こったタイミングで持たせてあげることから始めてみましょう。少しでも、食べられたら「食べられたね~」と褒めてあげてください。まずは子どものやる気を大切に。
スプーンの練習をはじめる前に
スプーンの使いはじめは、上手く食べられず、こぼしたり、食べ物が床に落ちたりとするのは当たり前です。汚れても良いように赤ちゃんにはお食事用エプロンを着せ、床にはレジャーシートや新聞紙などを引いておくと片付けもラクです。赤ちゃんもママもイライラせず“食事を楽しむ”気持ちを大切にいきましょう。
使うスプーンの種類はいろいろあります。
素材は、シリコン、木製、プラスチック、ステンレスなどがありますよね。最初の頃は、柔らかいシリコンやぬくもりのある木製素材がおすすめです。
大きさや形もいろんなタイプがあり、最初の頃は、柄が握りやすく丸みがあるもので、あまり重くないものが良いですね。
徐々に、 プラスチックやステンレスなどの素材で、柄の部分が細すぎず、握りやすいもの。食べ物をすくいやすい角度や深さのものを選んでみましょう。
スプーン練習ステップ1・2・3
スプーン練習の最初のうちは、柔らかく煮た乱切りのにんじんや大根、シチュー、おかゆなどのすくいやすい食べ物からはじめ、うまくすくえないようなら手を添えてすくってあげます。スプーンの上にのせて、子ども自ら食べるようにすすめてみましょう。
子どもが自ら食べ物をスプーンにのせ、口に運べるようになったら手を添えることをやめ、見守ります。ママやパパも一緒に同じ動きをし、上手に出来た時には「がんばったね」「できたね」と褒めてあげてください。褒めることでさらにやる気がでて、繰り返します。そうやって、次の食事でも、またその次の食事でも、と続けることが上手になるポイントです。
食事に集中できる時間は限られているので、途中で嫌になったり飽きてしまうこともあります。その時は切り上げて、ママやパパが食べさせたり手づかみに戻ってもかまいません。
赤ちゃんがスプーンを上手に使えるようになる コツ
スプーンを上手に使えるようになるコツは、あせらずゆったりした気持ちで見守ることです。周りを汚してしまっても怒らない、こぼしそうになったら、さりげなく大人が介助してあげる。手指の発達が進み、繰り返し使っていれば徐々に使えるようになります。
また、手指の運動機能の発達を促す遊びを日常に取り入れると良いですね。ひも通しや型落とし、とんかち遊びなどの手指を使う遊びがおすすめです。
手指の発達が進み、繰り返し使っていれば徐々に使えるようになります。
まとめ
スプーンを上手に使えるまでには時間がかかります。徐々にステップアップしていきますので、ゆったりした気持ちで、食べることが楽しいという環境づくりを心がけましょう。
食事は一人で食べさせるのではなく、親子で一緒に笑顔で食べることも大切です。食べることは、生きることの源であり、食を育むことは、身体の成長だけでなく、心の成長にもつながります。楽しい食事の時間を過ごすためにも子どもが使いやすいスプーン選びをしてみませんか。
【参考文献】
筆者紹介
- 川島美由紀
- ・管理栄養士
- ・日本栄養士会公認 食物アレルギー分野管理栄養士
- ・中医薬膳師
- 保育園向け給食支援サービスを提供する会社にて食育コンテンツ開発に携わりながら、保健センターでの乳児健診、1歳半・3歳児健診時の栄養相談、離乳食指導、食品メーカー様向けレシピ開発、コラム執筆などで活躍中。