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【離乳食を始める前に】~赤ちゃんのお口の発育を知ろう~

コラム

【離乳食を始める前に】~赤ちゃんのお口の発育を知ろう~_01

はじめに 乳幼児期の“お口の発育”は高齢期の健康までも影響

歯科医師、料理食育研究家でもある六本木しみず歯科院長の清水百合先生に赤ちゃんのお口の発育についてお話をお伺いしました。
生後4~5ヶ月ごろになると“離乳食”が気になってくるママパパが多いのではないでしょうか。離乳食を始めるにあたって、まず乳幼児期の“お口の発育”について知って意識してみませんか。

乳幼児期のお口の発育状況は大人になってから、さらに高齢時期の健康状態にも関連してきます。口腔内の病気や症状だけでなく、お口が原因の全身の病気は多々ありますので、お子さまの将来の健康のためにも“お口の発育”に注目してみましょう。

【離乳食を始める前に】~赤ちゃんのお口の発育を知ろう~_02

赤ちゃんのお口の成長

生まれてすぐは歯が無く、お口を動かしても動作は単純で、よだれが垂れてきます。歯が生え唇やお口回りの筋肉はこれから発達する時期ですし、生まれてからしばらくは母乳やミルクを飲むところからで、どんな食べ物があり、香りや味があるのかも知りません。

それから歯が生え、あごの力がつき、口回りの筋肉が上手にできてくれば、美味しく食事ができ、発声発語も良く、ゆくゆくはお子さまの脳の発達や運動機能にも良い影響を与えられます。

今回は、お口の発育の中でも

  • “味”を感じる仕組み
  • 咀嚼・噛むこと
  • 唾液のこと

についてお話します。

味を感じる仕組み

何かを食べた時に「おいしい」「辛い」「甘い」と誰もが味を感じるでしょう。おおよそは同じ反応でも時に感想が異なることがあります。これは、年齢や体調、病気にもよりますが、味を感じる経験不足からも起こりえます。0地点にいる乳児は母乳等を生きるエネルギーとして摂取しますが、離乳食や歯が生え始める頃には、より多くの食材を口にして“味を感じる経験”を増やすと良いでしょう。

口に入れた時に感じる美味しさ・まずさ、甘い辛い等の感覚は、実は口が感じるのではないのをご存じですか。舌や頬粘膜(きょうねんまく)他口の中全体に「食べ物がきたよ~」と認識された後、神経を通じて脳に通達され、脳からのお返事で、味の違いがわかるのです。
口腔内で認識するのは「味蕾(みらい)」とよばれる細胞で、脳からのお返事として感じるのが“味覚”です。

味覚の分類方法は国別に多少異なりますが、5つに分け「五味」と呼ばれます。

  • 甘味
  • 酸味
  • 苦味
  • 辛味
  • 鹹味(塩からさ)

咀嚼力・噛むチカラを育てよう

歯で食べ物を細かくなるまで噛み砕き、飲み込みやすくすり潰すことを「咀嚼」といいます。言い換えると噛むこと・噛み砕くことですね。
咀嚼力、噛む力が大事という話はよくきかれるかもしれませんが、どうして大事なのか、その力を育むことによりどんなメリットがあるのかをあげてみましょう。

  • (食物を砕く、すり潰すことで食べ物が)飲み込みやすくなる
  • (砕かれて、すり潰された食べ物は)消化吸収しやすくなる
  • (噛む動きにより)唾液が出やすくなる
  • 口腔周囲筋(唇・ほほ・あご・舌などの口の周りの筋肉)をきたえる
  • あごの発育を促す~全身の運動能力にも影響

さらに、将来の顔の形や脳の活性化にも影響します。物事への集中力にも影響していきます。

【離乳食を始める前に】~赤ちゃんのお口の発育を知ろう~_03

唾液のチカラ

咀嚼のメリットとしてお話した“唾液のチカラ”について、もう少し詳しくお話します。唾液が出やすくなると、どんな良いことがあるのか。よだれかぶれが気になるので唾液が多いのはイヤがるママパパもいるかもしれませんが、唾液には重要な役割があります。

まず、唾液には消化を助ける消化酵素が含まれており、噛むことによって食べ物と混ざり合い消化を促します。さらに殺菌・抗菌作用により細菌や真菌だけでなく、風邪、インフルエンザ予防も期待できます。唾液で口腔内(口からのどまでの間)を潤すことにより、口腔内のバランスを保ち、虫歯菌や歯周病菌の繁殖を抑制する効果もあります。
また、意外と知らない“自浄作用”。これは自分の唾液で口腔内をキレイに洗い流すことです。唾液量が多いほど、自浄作用は大きくなり、菌の増殖を防ぎます。

まとめ ~いよいよカミカミもぐもぐ!

母乳等の摂取時期は「吸う」機能が主ですが、次第にお口の動きが増え左右上下に開けたりずらしたり、上手に開閉できたり口からこぼさなくなったり、もぐもぐできる時期になっていきます。歯が生え始める時期(生後6ケ月頃)を目安に離乳食もスタートすることが多いのではないでしょうか。
離乳食は匙であげ始め、匙から唇で食物を中にしまいこみ、もぐもぐ喉の奥へ導きごくんと食べます。

生まれた時見えていない乳歯は歯肉の中で成長し、生後6ケ月頃から順に生え始めます。その前後に歯がためで歯肉変化によるぐずり、痛みや痒さをまぎらわせますが、歯がためと同時にカミカミもぐもぐと食物体験ができるといいですね。ママパパがミキサーで100%流動食に調理した離乳食でなく自分の噛む力を試し鍛えながら、茹で野菜や豆類、果物を潰し、野菜の匂いや味を知る、野菜汁や果汁を体験するのは素敵ですよね。

お子さまの将来のために、ぜひ沢山の経験をさせてあげましょう。
お口の中に食物を入れた後は、虫歯予防のために歯磨きも忘れずに!

引用文献
  • 「アンチエイジング歯科医からの積極的治癒食」フレグランスジャーナル社 清水百合著
  • 「忙しいあなたのための歯科治癒食」東京臨床出版 清水百合著

監修者

コラム筆者アイコン
清水百合先生
  • 日本元気キレイ医歯学研究所 代表
  • 六本木しみず歯科 院長
  • (一社)オーラルビューティフード協会 代表理事
歯科医師で料理食育研究家、アーティストとしても長年活躍し、臨床治療に五感・衣食住全般のアドバイスを加えたトータルヘルシービューティな予防医療を目指す。複数の医療学会や団体の常任理事、さらに食品やコスメ、健康医療分野の企業の商品開発や企画の監修、顧問等も多数務める。 学会講演や歯科業界内外でのセミナー講師、クリニックや店舗のプロデュース、著名人達とのトークショー出演やMC等、TV・ラジオ等メディア出演、著書、コラム執筆など幅広く活躍。

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