離乳食をスタートしたら、何をいつから、どんなふうに食べさせたら良いか迷うママパパは多いのではないでしょうか。種類が多い果物についての問い合わせも良くあります。
そこで今回は、離乳食で果物をいつから与えたら良いか。与える場合、適している果物の種類は?その順番や与える際の注意点について、食の専門家【管理栄養士】の川島美由紀さんに教えていただきました。
果物はいつから食べていいの?
離乳食をはじめた5~6ヶ月ごろ食べることが出来ます。無理に早い時期から与える必要はなく、おかゆや野菜の離乳食に慣れてから、赤ちゃんの様子を見ながら取り入れていくと良いでしょう。
果汁って飲ませたほうがいいの?
昔は、ミルクの成分にビタミン・ミネラルが不足していたため、果汁を飲ませるように言われていました。現在は、無理に果汁を飲ませる必要はありませんが、離乳食初期に新しい種類の果物を試す場合は、衛生面やアレルギー対策として、果物を搾り器から搾った汁を加熱し与えるのが望ましいです。
どの果物から始めたらいいの?
特に決まりはありませんが、赤ちゃんが上手に飲みこめるよう「すりおろし」や「ペースト状」にしやすい果物から始めるのがおすすめです。初めて与える果物は、離乳食用スプーン1さじから与え、赤ちゃんの体調に変化がないか様子をみましょう。
果物にもアレルギーを引き起こす原因となる物があります。食物アレルギー表示対象品目に入っているオレンジ、キウイフルーツ、桃、りんご、バナナです。生のまま食べさせやすい果物ですが、加熱することで酵素の働きが抑えられるので食物アレルギーのリスクを減らすことができます。初めて食べさせる時には加熱をしたほうが安心です。大きさや形状については、赤ちゃんの成長にあったものにしましょう。
≪それぞれの月齢にあった大きさ・形状の目安≫
- 初期(5~6ヶ月):果汁、ペースト(裏ごし)
- 中期(7~8ヶ月):すりおろす、粗みじん切り
- 後期(9~11ヶ月):5mm角
- 完了期(12~18ヶ月):1cm角
また、パイナップル、マンゴーなどは消化酵素を多く含み刺激が強いので離乳食時期には不向きです。はじめて与えるときは、万が一食物アレルギーを起こした場合にすぐに病院へ行けるよう平日の午前中など医療機関を受診できる時間に与えましょう。
果物を与える際の注意点
1)窒息・誤嚥に注意
さくらんぼやぶどう(皮をむく)などの球状のものは、丸いまま食べさせると窒息の恐れがあります。4等分にするなど小さく切ってから与えるようにしましょう。
次に、りんご・梨・柿は、噛んで細かくなったとしても食べ物の塊の固さや切り方によってはつまりやすい食材です。保育園給食の事故防止のための対応ガイドラインには、「りんごと梨は、完了期までは加熱して提供する。柿はりんごで代用する」と明記されており誤嚥に注意が必要です。
うまく食べ物を飲み込めていない時期は、加熱後にすりおろしただけではつぶつぶが残っている場合もあるため、誤嚥防止のためにも離乳食フィーダーなどの便利グッズを利用されるのもおすすめです。
2)与えすぎに注意
果物を加熱すると甘味が増します。糖質を多く含むため、与えすぎると食事に影響がでてしまいます。空腹のリズムが作れず離乳食を食べない原因にもなるため注意しましょう。果物は、毎食提供するのではなく、1日1回程度にし、離乳食完了期くらいになると果物をおやつとして提供するのも良いでしょう。
また、加熱してある果物として、缶詰やジャムなどがありますが、缶詰やジャムは砂糖もたくさん含まれておりとても甘いです。離乳食のうちは果物本来の自然の甘さを経験させてあげましょう。
まとめ
赤ちゃんにより食べられる量、食べられる固さなどは個人差があります。その子にあったペースで進め、旬の果物の味を食べさせてあげてください。
参考文献
- > 厚生労働省:授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)
こども家庭庁:教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン - > 消費者庁:食品による子どもの窒息・誤嚥(ごえん)事故に注意!
―気管支炎や肺炎を起こすおそれも、硬い豆やナッツ類等は5歳以下の子どもには食べさせないで―
筆者紹介
- 川島美由紀
- ・管理栄養士
- ・日本栄養士会公認 食物アレルギー分野管理栄養士
- ・中医薬膳師
- 自身の産後を期に、ママだけが一人で頑張る世の中を変えたいという想いから、子育て両立支援事業会社にて、食育プログラムの企画開発・運営に携わる。現在は、保健センターでの乳児健診、1歳半・3歳児健診時の栄養相談、離乳食指導に携わりながら、食品メーカー様向けレシピ開発、コラム執筆などで活躍中。