イラスト:性教育サイト「命育」より
メディアや日常でよく聞く「ジェンダー」という言葉。知っているようで、実際はあまりなじみのない言葉のように感じている人も少なくないのではないでしょうか。今回は「乳幼児期からできるジェンダーの伝え方」について、家庭でできる性教育サイト「命育」を運営されている宮原由紀さんにお話をお伺いしました。
「ジェンダー」って、なに?
ジェンダーとは、社会的・文化的につくられた性別の役割のこと。
ジェンダーについて考えるということは、「男の子らしい、女の子らしい、ってどういうこと?」を、考えることにつながります。
保護者自身が考えることで、子どもたちに「性別によって、何かを制限されることはない」というメッセージを伝えることができるようになります。
「男の子らしさ、女の子らしさ」は、いつから知るの?
「男の子らしさ、女の子らしさ」という考え方は、何歳くらいから持つようになると思いますか?
実は、子どもたちは産まれたときから性別についてのメッセージを受けとっています。
例えば、赤ちゃんのときに着る服やおくるみの色。成長していく中でも、買ってあげるおもちゃや、提案する習いごと。
男の子はブルー、女の子はピンクといった色の「男の子らしさ、女の子らしさ」や、男の子はヒーローにあこがれて、女の子はプリンセスにあこがれるはず、といった「男の子らしさ、女の子らしさ」。
周りの大人たちやメディアの影響を大きく受けて、子どもたちは「男の子らしさ、女の子らしさ」のメッセージを受け取っているのです。
どんなことに気をつけたらいい?
子どもが性別に捉われず、好きなことを選択でき、興味があるものを追求できるようになるには、どのようなことに気をつけたらいいのでしょうか。
まずは保護者自身が、以下のような考え方・行動について気をつけるよう心がけましょう。
① 保護者自身が、ジェンダーに捉われずに生きていいことを理解すること
「男の子らしさ、女の子らしさ」にこだわらなくていいことや、「人はそれぞれ異なり、一人一人が大切にされる権利があること」を保護者自身が知りましょう。
②「男の子らしさ、女の子らしさ」をおしつけることを言わない・しない
- 「ピンクの服の方が、女の子らしいんじゃない?」
- 「男の子だから、外で元気に遊びなさい」
- 「これは、女の子用(男の子用)のおもちゃだから、こっちにしたら?」
上記のようなこと、していませんか?こうした言動をしないようにして、代わりにこのように、子どもの趣味や興味を肯定する言葉をかけてみましょう。
- 「いいね!こういうのが好きなんだね」
- 「〇〇ちゃんらしくて、似合うと思うよ」
③ さまざまな家族のあり方があることを伝える
「男の子らしさ、女の子らしさ」にこだわらない価値観を伝えるとともに、「パパとママがいるおうちもあれば、パパだけママだけのおうち、おじいちゃんおばあちゃんが子どもを育てているおうち、パパがふたり、ママがふたりいるおうちもある」という家族の多様性についても伝えることができます。
イラスト:性教育サイト「命育」より
「ジェンダー」の会話には、絵本や知育グッズがおすすめ
小さな子どもに「ジェンダー」を伝えるのって、なかなか難しい…。そんな人は、絵本やグッズを使ってみてください。
「命育」では、幼児期のお子さんにおすすめの性教育の絵本を色々と紹介しています。
> https://meiiku.com/bookreview/
また、子どもと遊びながら、楽しく、からだやプライベートゾーン、ジェンダーのことを学べる教材や知育グッズも開発しています。
「ひつじのパンツカード」は、小児科医監修の、2歳から大人までが一緒に遊んでプライベートゾーンや、性別に捉われず”好きなもの”の会話がはずむカードゲーム。
いろんなパンツを履いた個性的なひつじ達で遊ぶなかで、「プライベートゾーン」や「(性別にとらわれない)好きなもの」についての会話がはずむよう工夫がされています。
「なんで、ひつじがパンツを履いているんだろう?」
「〇〇ちゃん/〇〇くんは、どのひつじが好き?それはなんで?」
そんな語りかけをすることで、自分の身を自分で守る知識(防犯)・自分や他人のからだを大切にすること・性別にとらわれず、自分が好きなものを考えるきっかけになります。
また、個性豊かなひつじのパンツを見て「こんなパンツが履きたい!」といって、トイレトレーニングを頑張れるようになったというお子さんも。
「ひつじのパンツカード」は、数量限定でMakuakeにて発売中。詳しくはこちら。
> https://www.makuake.com/project/meiiku/
ぜひ、乳幼児期から「プライベートゾーン」を伝えてみてくださいね!
監修
- 宮原 由紀Siblings合同会社代表/性教育メディア「命育」代表
- 大手のメディア・エンタメ企業を3社経験し、計10年以上メディアに携わるが、より多様な働き方を求めて独立。3児(男2・女1)の母。著書に「子どもと性の話、はじめませんか」(監修:産婦人科医 高橋幸子/出版:CCCメディアハウス)
自身が代表を務める「命育」では、医師・専門家の監修のもと年齢に応じた性教育情報を発信。また園や学校・PTA、行政とも連携し、ワークショップや教材などを通じて多方面から性教育を行うサポートをしている。 - 性教育メディア「命育」編集部
- 参考:「乳幼児期の性に関する情報提供」―保健師や親子に関わる専門職のための手引き」
(厚生労働省「令和3年度子ども・子育て支援推進調査研究事業」により命育にて制作) - https://meiiku.com/mhlw_guide/