「さいしょからできるやつなんて いねーよ!」お箸チャレンジと“ステップアップ”の話

コラム

大人にとっては当たり前の動作でも、子どもにとっては毎日が“挑戦”の連続です。
今回は、絵本『おはしうさぎ』(ポプラ社刊)作者のくせさなえ先生と、作業療法士として子どものリハビリにも携わってきた丁子雄希先生をお招きし、「お箸」をテーマに対談を行いました。
さらに、子どもの“おはしチャレンジ”を応援するアイテムとして開発された「エジソンのお箸 ラストステップ」についても、専門家視点から深掘りしていきます。

丁子雄希先生新潟リハビリテーション大学 准教授/作業療法士・公認心理師。博士(作業療法学)
お箸の研究者として、子どもの箸の練習方法や、脳卒中などで利き手が使いにくくなった方の箸の再習得支援に関する研究を行っている。支援箸や練習アプリの開発にも関わり、年齢や障害の有無に関わらず、誰もが自分の力で食べる喜びを実感できる社会の実現を目指している。

くせさなえ先生絵本作家
1977年滋賀県生まれ。京都精華大学美術学部卒業。テキスタイルデザイン会社を経て、絵本制作に励む。第32回講談社絵本新人賞受賞作『ぼくとおおはしくん』で絵本作家デビュー。絵本に「手話ではなそう」シリーズ(偕成社)『だじゃれかえりみち』(PHP研究所)『なかぎゅー!』(白泉社)『ゆびたこ』(ポプラ社)など。

まずは『おはしうさぎ』の印象から

———丁子先生は『おはしうさぎ』を読まれて、どんな印象を持たれましたか?
丁子先生:まずパパ目線で、キャラクターにとても愛おしさを感じて、すごくいいなと思いました。これってリハビリにも通ずるところがありまして。
子供のリハビリは、遊びの要素を取り入れて、いかに子供の世界観に入り込んで進められるかが成功の鍵になります。そういう目線で見ていくと、ゲーム的要素がふんだんに盛り込まれた「おはしうさぎ」の設定や展開もリハビリに通ずるものがあって、大変参考になりました。

くせ先生:やっぱり子供って、遊びとか、なんか楽しいことがやる気を起こさせてくれますよね。子供とお箸を練習していた時も、たまごボーロとかおもちゃを一緒に掴んだり、豆を何個掴めるかとか、そういったことをゲーム感覚でやっていました。確かエジソンさんの黄色いお箸やったと思います。

――― わ!ありがとうございます。

作業療法士から見た「お箸」と「生活」のつながり

――― 改めて、丁子先生のお仕事、作業療法士について教えてください。
丁子先生:僕はリハビリテーションの中の「作業療法」という職種です。
「作業」と聞くと、指先を使う細かい運動のイメージを持たれがちなのですが、実は作業=「生活」という意味なんですね。病気や怪我で生活が難しくなった方を支援する専門職です。
――― 生活そのものを支えるのですね。
丁子先生:例えば大人でも、脳卒中などで利き手が麻痺してしまうと、お箸が使えなくなることがあります。麻痺が軽ければ麻痺した手で練習したり、重度なら「利き手交換」で左手で食べる練習をすることもあります。
――― お箸って、できなくなると生活に直結しますね…。
丁子先生:そうなんです。しかも作業療法の対象は大人だけじゃなく、子どもも含まれます。発達障害など、生まれながらに支援が必要なお子さんの成長段階に合わせて生活の練習をすることもあります。

子どものリハビリが難しい理由は「正しさ」より「世界観」

――― 子どものリハビリは、やっぱり難しいのでしょうか?
丁子先生:正直、難しいです。親が「こうした方がいいよ」と言っても、なかなか入らないことも多いですよね。
だからこそ大事なのは、子どもの世界観に入ること。遊びの延長にしたり、ゲーム性を持たせたり、「やらされている」ではなく「やってみたい」と思える工夫が必要になります。

「さいしょからできるやつなんて いねーよ!」――絵本『おはしうさぎ』が伝えたかったこと

――― くせ先生、絵本『おはしうさぎ』には印象的なセリフがありますよね。
くせ先生:お箸の練習もそうですけど、何回も練習しないとできないことって、大人でも子どもでもありますよね。
でも、1回やって諦めちゃうことも多い。だから「最初からできなくて当たり前だよ」って、ちょっと言ってほしいなと思って。

――― この一言、親にも刺さります…。
くせ先生:実は幼稚園の先生から、すごく嬉しいエピソードをもらったことがありました。
『おはしうさぎ』を5歳のクラスで読んだ時に、園児が「コマ回し」に挑戦していたらしくて。
絵本を読んだ後に、子どもたちが「最初からできるやつなんていねーよって、うさぎさんも言ってたね」って言って、何回も練習して頑張ったって、わざわざお手紙で教えてくれはって。
子どもがちゃんとキャッチしてくれたのが嬉しかったです。
――― うわ…!ちゃんと届いてるんですね。

“おはしうさぎ”は偶然から爆誕

――― そもそも「おはしうさぎ」というキャラクターは、どうやって生まれたんですか?
くせ先生:きっかけは偶然で。お箸の題材でお話をいただいて、お箸を見ながらどうしようかなって考えていた時に、自分が使ってるお箸にちょうどうさぎの絵が描いてあったんです。
それで「うさぎの耳ってちょっとお箸っぽいかも」って思って、「おはしうさぎ、いいかも!」って。

――― まさに“爆誕”ですね(笑)
くせ先生:そうですね。性格も、ちょっと年上で得意げに教えたがる“近所のお兄ちゃん”みたいなイメージです。大人よりも、少し先を行く存在の方が、子どもには響くと思って。

子どもが伸びるのは「すごい大人」より「ちょっと先の先輩」

――― 子どもって、大人みたいな“できる人”が言うよりも、自分に近い人の言葉や姿の方が刺激になるんですよね。
丁子先生:まさにそうで、発達の場面でもよく見られます。はるかに上の存在より、「自分もなれそう」と思える相手の方が、行動につながりやすい。
くせ先生:お箸うさぎも、「できない自分」を責める存在じゃなくて、「まあまあ、一緒にやろうや」って横に立つ存在であってほしかったんです。

“お箸博士”丁子先生が語る「4歳半の壁」――正しい持ち方は“まだ無理”で当たり前

――― 丁子先生、子どもがお箸を練習する時期について、発達の観点から教えてください。
丁子先生:手の発達的にいうと、4歳半くらいまでは正しい持ち方はできなくて当たり前です。
それより前は、手の機能自体がまだ未熟なんですね。
だから、「早く始めた方がいい」「できないのは練習不足」という話ではありません。
――― 4歳半…!それを知るだけで、親の気持ちが楽になりますね。
丁子先生:4歳半より前に練習する場合は、一般的なお箸よりも“できた体験”を促すために、リング付きのお箸が一つの選択肢になると思います。
4歳半以降になると手の発達が進んで、器用な動かし方ができるようになるので、そこから正しい持ち方につながりやすくなります。
――― つまり、早く始めればいいって話じゃないんですね。
丁子先生:そうですね。2歳くらいからリング付きのお箸を使う家庭も多いですけど、決してダメなわけではなくて。触れること自体は悪くありませんが、「正しく持たせる」ことを急がなくていいと思います。

「正しく持たなきゃ」と矯正するのではなく、まずは「できた!」を経験し喜びをつくることを大事にしている「エジソンのお箸」。

「中指と薬指を別々に動かす」…それ、めちゃくちゃ難しいです

丁子先生:お箸が難しい理由の一つは、中指と薬指を別々に動かす必要があることなんです。
この動きって、子供にとってやる機会はじゃんけんのチョキぐらいしかないんですよね。どうしてもこの中指と薬指がつられて動いてしまう。
――― た、確かに…!
丁子先生: だからこそ、子どもがうまくできないのは当然なんです。
大事なのは、「できない=ダメ」ではなく、「今はその段階なんだ」という捉え方だと思います。
この機会をどう作るかが鍵かな、と思った結果、エジソンママさんと共同開発した「ラストステップ」のような形につながりました。

親が教えるのは、難しい。だからこそ「仕組み」が助けになる

――― 丁子先生ご自身、お子さんに教える時も同じように工夫されるんですか?
丁子先生:いや…自分の子どもになると、うまくいきづらいです(笑)お腹が空いてるとそれどころじゃないし、とにかく食べたいってなる。マイルドにお箸の持ち⽅を伝えてもシャットダウンしてしまうこともありますよね。僕も子ども3人いるので分かります…。
――― 専門家でも難しいんですね…!
丁子先生:実際の食事場面では、もうとにかくお腹すいて、それどころじゃないので(笑)そこでちょっとゲームの要素を持たせてみました。
お皿二枚とティッシュを用意します。ティッシュは(お⾖のサイズくらいに)ちぎって丸めて、そこにマジックで顔を書いて、10個とか20個ぐらい準備して、片方のお皿の中に入れとくんですね。
子供がはまっているゲームになぞらえて「このお皿の中には溶岩が入っている。この溶岩に浮いているキャラクター(ティッシュを)をこっちに移そう。」というゲームにしてみました。
ティッシュにも仕掛けがあって、一つだけ大きめのティッシュを作りました。「おはしうさぎ」のなめこのような“ボスキャラ”ですね。こいつを掴んで移せるかな?っていうようなことをやると、「やってやるぜ!」と食いついてくれるんです。

―――やっぱボス大事ですね!達成感が出ますもんね。
くせ先生、なめこをボスにしたのは、やっぱり掴みづらいヒット株だったからですか?
くせ先生:お味噌汁に入ってる具材で、何がいいかなみたいな感じでしゃべってたような記憶がありますね。なめこってキャラクター的にもちょっと面白いかなっていうイメージで決まりました。
くせ先生:実は“ゆびたこ風”のなめこもいるんですよ。気づいてくれるかもと思って、ここだけちょっと。
編注:『ゆびたこ』(作/くせさなえ) 指しゃぶりがやめられない私の親指にある「ゆびたこ」がしゃべった!?ゆびしゃぶりに悩む親子に寄り添い、25万部を突破する人気絵本。
―――え!気が付かなかった!(皆さんもぜひ探してみてくださいね)

習慣化のコツは「2週間続けること」

――― ポプラ社編集部でも盛り上がりました、やはりみんなお箸の持ち方に自信がなくて…で、大人用もあるそうですよって言ったら、ええ、やってみようかなって。
でも癖になっている持ち方ってなかなか直らないと思うのですが、大人でも直せるものでしょうか?
丁子先生:はい、意識次第で十分に可能です。
諸説ありますが、違和感があっても、少なくとも2週間ぐらい続けないと、習慣化につながりにくいと言われているんですね。
――― に、2週間…!
丁子先生:勉強が苦手な子でも、いかに机に向かわせるのを2週間続けられるか、っていうのが一つの鍵ですね。
―――お箸に限らず、すべての習慣化には2週間の継続ってことですね!


大人用もあります!

おわりに:お箸は「練習」じゃなくて「挑戦」だから

お箸がうまく使えない日があってもいい。
昨日できなかったことが、今日できるようになるかもしれない。
そして何より、挑戦している子ども自身が一番すごい。

おはしうさぎの言葉
――「さいしょからできるやつなんて いねーよ!」

この一言は、子どもに向けた応援でありながら、親の肩の力もふっと抜いてくれる“お守り”のように感じました。
毎日の食卓が、「できない」を責める場所ではなく、
「できた!」を積み重ねていく場所になりますように。

もうひとつの【おはしインタビュー】も!

ポプラ社様の公式noteでは、弊社開発部長によるインタビュー記事を掲載中!
是非あわせてご覧ください♪
お箸メーカーのママさん部長にきいた、楽しくお箸練習ができる方法~絵本『おはしうさぎ』発売記念企画

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