
毎日の生活で欠かせない食事の時間。子どもに栄養が良いものを食べさせたいと思う一方、本当に栄養が摂れているのか、悩むことありませんか。今回は管理栄養士のながはらさおり先生に「子どもの食事の栄養対策」について教えていただきました。

- ながはら さおり先生管理栄養士 / 栄養教諭免許保有 / 離乳食・幼児食アドバイザー®
- 病院で離乳食・幼児食の調理や、育児メディアで離乳食・幼児食などのコンテンツディレクターを経験。現在は本業の傍ら、子育て支援事業の相談スタッフとしてママパパに寄り添うサポートを行っている。3才・小1の母。
- <目次>
- 子育てあるある「この食事で大丈夫かな?」と不安になるとき
- 子どもの栄養、不足しやすいのはどんなとき?
- 忙しい家庭でもできる!栄養バランスの整え方
- 管理栄養士が教える!栄養を“簡単に補える”食品
- おわりに:大切なのは「がんばりすぎない工夫」
子育てあるある「この食事で大丈夫かな?」と不安になるとき
「今日のごはん、これで栄養足りてるのかな?」
子育てをしていると、多くのママやパパが一度は抱く不安です。
離乳食を始めたばかりの頃は「食べる量が少なくて心配」、幼児期に入ると「好き嫌いが多くて必要な栄養素がとれているか心配」と感じることも。
でも実は、子どもの栄養は“毎食完璧”でなくても大丈夫。数日単位でバランスを見直したり、ちょっとした工夫で栄養素を補ったりすれば、十分に成長を支えられます。ここでは管理栄養士の視点から、子どもの栄養不足に不安を感じたときに役立つ考え方や具体的な方法をご紹介します。
子どもの栄養、不足しやすいのはどんなとき?
子どもは成長が著しいため、小食や偏食、食べムラなどがあると、栄養不足が気になることがあります。お子様の様子をみて「疲れやすい」「便秘がち」「肌荒れや爪の弱さ」などが気になったら、普段の食事の栄養が足りているかを見直すきっかけになります。ただし、必ずしも栄養不足だけが原因ではないので、気になるときは医師や専門家に相談しましょう。
子どもの栄養が不足しやすいときには以下のようなときがあります。もし該当する場合は食事の栄養価をいつもより意識してみるとよいかもしれません。
・小食・偏食・食べムラがあるとき
・身長や体重が大きく増えたとき
・体調を崩したとき
・食生活や生活リズムが乱れているとき
・食物アレルギーや食事制限がある場合
■特に不足しやすい栄養素は?
特に不足しやすい栄養素には以下のようなものがあります。
鉄分
赤血球を作り、脳や体の発達を支える。離乳食後期〜幼児期に不足しやすい。
カルシウム
骨や歯の形成に不可欠。乳アレルギーのお子さんや牛乳や乳製品をとる習慣がないお子様は不足しやすい。
ビタミンD
カルシウムの吸収を助け、丈夫な骨や歯をつくる栄養素。日に当たる機会が少なかったり魚をあまり食べなかったりすると不足しやすくなる。
食物繊維
腸内環境を整え、便秘予防にも。野菜や芋類、果物をあまり食べないお子様は不足することがある。
たんぱく質
体を作る大切な栄養素。筋肉や臓器、髪や爪なども作っている。免疫力を高めるのに必要な抗体もたんぱく質で作られている。
その他
葉酸:偏食で野菜や果物をあまり食べないお子様は不足する場合がある。
忙しい家庭でもできる!栄養バランスの整え方
子どもの食事を考えるとき、「毎食バランス良く」と思うと負担が大きくなります。そこでおすすめなのは、“数日単位”で全体の栄養バランスを見直すこと。例えば、朝食で野菜が少なければ昼や夜に多めに取り入れる、たんぱく質が多い食品が少なかったときはおやつで補うなど、柔軟に考えることが大切です。
また、忙しい日には、冷凍食品やレトルト食品などを活用するのもひとつです。特に、子ども向けに作られている食品は、不足しがちな栄養素がプラスされているものもあったり、衛生的に加工されていたりするので安心して使えます。栄養不足が気になるときは、前後の食事で栄養バランスを整え、このあとお伝えする栄養を“簡単に補える”食品をちょい足しするのもおすすめですよ。
さらに、間食を「おやつ」ではなく「第4の食事」として位置づけるのもおすすめ。小食で一度にたくさん食べられないお子様には、ヨーグルトや果物、おにぎりなどで栄養を小分けに体に届けられると安心です。
管理栄養士が教える!栄養を“簡単に補える”食品
毎日の食卓に“ちょい足し”するだけで、栄養不足の不安をやわらげられる便利な食品をご紹介します。
米ぬかチャージ
米ぬかにはビタミンEや葉酸・カリウム・食物繊維などの栄養素が多く含まれています。米ぬかチャージではこれらの栄養素を効率的に補えるので、お子様の好き嫌いで悩むママ・パパの味方になってくれます。パウダー状になっていて消化吸収しやすく、小さなお子様から大人まで取り入れやすいのも魅力です。離乳食の初期(生後5か月ごろ)から使えるので、家族みんなのごはんの栄養底上げに役立ちますよ。

我が家の子どもたちのお気に入りの使い方
【バナナをのせたヨーグルトにかけて】
そのままでもほんのり甘みがしておいしいですが、きび砂糖を少し加えるとさらにおいしいくなりますよ♪

【カレーに混ぜて】
忙しくて夕食をレトルトカレーに頼った日も、米ぬかチャージをちょい足しすれば栄養素が補えます。もちろん手作りカレーに混ぜても栄養価がアップしておすすめです。

【ブロッコリーのごま和え】
おうちでごま和えを作るときに、ごまの半量ほどを米ぬかチャージに置きかえます。我が家では、しょうゆ、砂糖、だし汁、米ぬかチャージを適量ずつ混ぜて作りました。しょうゆと砂糖の量を調整すれば、離乳食から食べられますよ。

【そのほかのおすすめのちょい足し】
・パンケーキ
・お好み焼き
・味噌汁やスープ など

おやさいきなこ
きなこのたんぱく質に加え、8種の野菜の栄養素やカルシウム、鉄分を一緒にとれる便利なきなこです。野菜が苦手なお子様でも、ちょい足しするだけで不足しがちな栄養素をプラスできますよ。
おすすめのちょい足し
【おかゆにまぜて】
ふりかけのような感覚で、混ぜて使うことができます。白いおかゆを食べない離乳食のお悩みあるあるが起きたときにもおすすめです。

【おやきに混ぜて】
離乳食や幼児食で定番のおやきに混ぜると、栄養価がアップします。

【マカロニきなこ】
保育園で人気のおやつで、ゆでたマカロニにきなこと砂糖をまぶして作ります。

まぜまぜベビーのり
ほんのり甘い味付けの、フレーク状の韓国海苔です。ビタミンB1・B2・C・E、DHA、食物繊維、いろんなミネラル(カルシウム・リン・銅)が豊富に含まれている嬉しい食品ですよ。
おすすめのちょい足し
【おかゆやご飯に】
食事の途中で食べ飽きてしまったときにちょい足ししたり、白いご飯を食べない時期にもおすすめです。

【卵焼きやサラダに】
いつもの卵焼きやサラダの風味と栄養価がアップ!のりの風味は好きなお子様も多いので、いろいろな料理に混ぜたりのせたりすると食がすすみやすくなりますよ。

おわりに:大切なのは「がんばりすぎない工夫」
栄養不足が心配になるのは、子どもを大切に思う気持ちの表れです。ただ、食事をするときに子どもの成長にとって大切なのは、栄養をとる以外にも、「食事を楽しむこと」「親子で安心して食卓を囲むこと」などがあります。
この記事でご紹介した“ちょい足し”の食品なども活用しながら、ぜひ手軽に栄養素を補ってみてくださいね。
ママ・パパの気持ちもラクになり、子どもにとっても栄養がしっかり届きます。忙しい毎日だからこそ、“がんばりすぎない工夫”を味方にしながら、笑顔の食卓を続けていきましょう。


