歯科医師が解説「子どもが転んで歯をぶつけた!」応急処置と受診の目安

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コラム

歯科医師が解説!子どもが転んで歯をぶつけたときの応急処置と受診の目安

歩き始めの1歳頃から学童期まで、子どもの「歯のケガ」は決して珍しくありません。
実は、歯のケガでとても大切なのは受診までの「最初の30分」の対応と言われています。
周囲の大人の対応次第で、お子様の不安を和らげるだけでなく、その後の治療や永久歯への影響が変わることも…。

今回は、歯並び育児®協会の歯科医師・高石透子先生に、歯科医学的な視点から、緊急時に「絶対に避けるべきNG行動」と「保護者がとるべき正しい応急処置」について教えていただきました。万が一の事態に備え、お子様の健やかな歯を守るための「正しい知識」を身につけておきましょう。

高石透子先生
高石 透子先生一般社団法人 歯並び育児®協会認定講師/歯科医師
大学病院口腔外科勤務後、一般歯科にて小児歯科、矯正歯科に携わることで、歯並びと全身の発達の深い関係に気づき、歯並び育児®認定講師に。治療だけに頼りすぎない、日常の中で無理なく取り組める「お口育て」を、専門家の視点から優しくナビゲートしている。

子どもの歯のケガ、実はよくあるトラブル

特にケガをしやすい年齢とは?

歯の外傷は、特に「1〜2歳の乳幼児期」と「7〜8歳の学童期」に多くみられます。
1〜2歳は、歩き始めでまだ歩行が安定していない時期です。この時期の子どもたちは「自分の思い通りに体を動かす練習」をしている最中です。そのため、転びながら少しずつバランス感覚を身につけていきます。
歯のケガの原因として最も多いのは「転倒」で、次いで「衝突」「転落」「打撲」と続きます。多くは家庭内や公園など、日常生活の中で起こります。

歯科医師が解説!子どもが転んで歯をぶつけたときの応急処置と受診の目安

一方、7〜8歳頃の学童期でも歯の外傷は増える傾向にあります。原因は転倒や衝突など乳幼児期と似ていますが、背景にはスポーツ、交通事故、友達との接触など、活動範囲の広がりが関係しています。

また、歯の外傷が起こりやすい部位は、乳歯・永久歯ともに「上の前歯」です。
特に上の真ん中の前歯に集中しており、全体の半数以上を占めています。
子どもの歯のケガは決して珍しいものではありません。だからこそ、年齢ごとの特徴を知り、日頃から注意して見守ることが大切です。

子どもが歯をぶつけたときどうする?

冷静な状況確認と対応

子どもが歯をぶつけた時は、まず落ち着いて出血と歯の状態を確認し、すぐ歯科受診することが望ましいです。

歯をぶつけた子どもの口の中を落ち着いて確認する保護者

受診時に行う症状別の処置

歯がぐらぐらしている
歯がぐらぐらしている場合は、歯の根や歯を支える骨にダメージがある可能性が高いです。ぐらつきを固定する処置が必要になる場合があります。無理に指で押したり、べろで触ったりすると症状が悪化することもあるため、そっとしておくことが大切です。
子どもの成長段階では乳歯と永久歯が混在しており、ぶつけた歯がどちらかによって処置が変わってきます。乳歯の場合、自然に抜けるのを待つこともありますが、永久歯の場合はできるだけ保存する方向で治療を行います。

歯が欠けた・折れた
歯が欠けたり折れた場合、その破片が残っている際は専用の歯の保存液や牛乳などに入れて保存し、なるべく早く歯科医院に持参してください。歯の状態によっては、元に戻せるケースもあります。
破折した範囲によっては、神経が露出してしまい強い痛みが出ることもあります。神経が傷ついている場合には、神経の処置が必要になることも。特に永久歯での破折は、将来的な歯の寿命にも関わるため、早期に適切な対応を受けることが重要です。

歯が抜けた!そのときの応急処置

抜けた歯を救う応急処置

もし子どもの歯が完全に抜けてしまったら、焦らずに次の4つのステップを実行してください。この迅速な対応が、歯を元に戻せるかどうかを大きく左右します。

ステップ1:歯の「頭」を持ち、「根っこ」には触れない!
抜けた歯を拾うときは、口の中に露出している白い部分(歯冠)を持ちましょう。歯の根っこの部分(歯根)には、歯と骨をつなぐための大切な細胞(歯根膜)が付着しています。この根っこに直接触れると、細胞が死んでしまうため、絶対に触らないように注意してください。

ステップ2:水でゴシゴシ洗うのはNG
汚れが気になっても、水道水でゴシゴシ洗ってはいけません。水道水に含まれる塩素や浸透圧の違いは、歯根膜にとって大きなダメージになります。「汚れているから殺菌しなきゃ」と考えるよりも、「大切な細胞を守る」ことを最優先にしてください。

ステップ3:乾燥を防ぐ液体に浸す
歯の根の細胞は、乾燥に非常に弱いです。以下の優先順位で、歯を液体に浸して保管してください。

  • 1. 生理食塩水 または専用の歯の保存液(もしあれば)
  • 2. 牛乳(浸透圧や成分が細胞の保護に適しています)
  • 3. 子どものお口の中(液体がない場合、頬の内側に入れておく方法もありますが、飲み込まないよう注意が必要です)

抜けた歯を牛乳や保存液に浸して保管する応急処置のイメージ

ステップ4:30分以内に歯科医院・医療機関へ!
歯を救えるかどうかのタイムリミットは、およそ30分と言われています。保存液や牛乳に浸した状態であっても、一刻も早く歯科医院を受診してください。事前に電話で「歯が抜けたこと」を伝えると、到着後の処置がスムーズになります。

後から出るサインと歯科受診の目安

時間の経過で現れる症状について

子どもが歯を強く打った直後は変化がなくても、数日、数週間、あるいは数ヶ月経ってから症状が現れることがあります。「もう大丈夫」と自己判断せず、お口の中に次のような変化がないか、定期的にチェックしてあげてください。

1. 歯の色が「赤く」なる(内出血のサイン)
打撲の衝撃で、歯の中にある神経(歯髄)がダメージを受け、血管が破れて「内出血」を起こしている状態です。
対応:一過性のものもありますが、経過を見守る必要があります。速やかに歯科医院で診察を受けましょう。

2. 歯の色が「黒ずんでくる」(神経が死んでいる可能性)
時間の経過とともに、歯がグレーや黒っぽく変色してくることがあります。これは「神経が死んでいる(失活)」サインかもしれません。
対応:そのまま放置すると、根の先で細菌が繁殖し、次に生えてくる永久歯の発育を妨げる恐れがあります。変色に気づいたら、早急に受診してください。

3. 歯ぐきが「腫れる」/ ニキビのようなものができる(根の病気)
歯の根の先に膿がたまると、歯ぐきがぷっくりと腫れたり、おできのようなもの(フィステル)ができたりします。
対応:これは「根の病気」が進行している合図です。見た目以上に深刻な場合があり、根の治療が必要になります。

歯科医院での「レントゲンチェック」が大切な理由

目に見える変化は、あくまで氷山の一角です。「歯の根が折れていないか」「あごの骨の中に隠れている永久歯に影響が出ていないか」は、外側からではわかりません。見た目が変わったら、歯科医院でレントゲンチェック!ケガをした後は定期的にプロの目で確認してもらうことが、子どもの将来の歯を守る一番の近道です。

抜けた歯を牛乳や保存液に浸して保管する応急処置のイメージ

まとめ

子どもの歯のケガは、誰にでも起こりうる身近なトラブルです。大切なのは、慌てず正しい応急処置を行い、早めに歯科受診すること。
見た目に異常がなくても、後から症状が出る場合もあります。将来の永久歯を守るためにも、受傷後は継続的な経過観察を心がけましょう。


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