【管理栄養士解説】赤ちゃんの遊び食べは成長の証!原因と楽しく乗りきる対策

コラム

【管理栄養士解説】赤ちゃんの遊び食べは成長の証!原因と楽しく乗りきる対策_01

離乳食時期の悩みアンケートで多くあがるのが“遊び食べ”です。「食事に時間がかかる」「散らかりがすごい」「くじけそう」など様々な声がきかれます。今回は自らも子育てを経験し、食で悩むママを減らすことを目指し活動している管理栄養士の佐藤翔子さんに“遊び食べ”の原因と対策について教えていただきました。

遊び食べとは?

遊び食べとは、赤ちゃんが食事中に食べ物を触ったり、潰したり、投げたりする行動を指します。食べ物に興味を持ち、自分で食べる力を育てる成長過程です。具体的には、以下のような行動が遊び食べに含まれます。

  • ・食べ物を床に落とす
  • ・食べ物を握り潰して感触を楽しむ
  • ・スプーンやフォークを振り回す
  • ・食べ物を口に入れては出す
  • ・飲み物をわざとこぼす
  • ・テーブルや自分の体に食べ物を塗りつける

このような行動は、特に手づかみ食べが始まった頃の離乳食後期(生後9〜11か月頃)から1歳頃にかけてよく見られます。多くのママ・パパが「ちゃんと食べてくれない」「片づけが大変」と悩む時期です。

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遊び食べはなぜ起こる?

遊び食べの主な原因と言われているのは次の5つになります。いずれも赤ちゃんの成長や発達に伴い、自然で大事な行動です。

  • 好奇心と学びの一環
    食べ物を触ったり、潰したりすることで、形や感触、匂いを確認しています。これは脳の発達に役立つ行動です。
  • 自分で食べたい欲求
    「自分でやりたい!」という気持ちが芽生え、手づかみやスプーンを使った食べ方の試行錯誤が増えます。
  • 集中力の限界
    赤ちゃんの集中力は短いため、周囲の刺激に気を取られると遊び食べが始まります。
  • 満腹や疲れ
    満腹感や疲労により、食べ物を遊び道具にしてしまうことがあります。
  • 親の反応が楽しい
    赤ちゃんは親の反応に興味を持ち、注意を引くために食べ物を投げることがあります。

遊び食べ=ダメは勘違い

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遊び食べと言うと、「いけないこと」「ダメなこと」をしているような印象を受けるかもしれませんが、それは大人がそう思い込んでいるだけです。赤ちゃんにとっては、遊ぶことそのものが成長の一部であり、遊び食べもその延長にあります。実際には、遊び食べは食べ物を通して多くのことを学ぶ大切な時間なのです。言い換えるならば、「学習食べ」とも言えるでしょう。「多くの赤ちゃんが通る道なんだ」と考えるだけでも、少し気持ちがラクになるのではないでしょうか。

遊び食べがもたらす成長ポイント
  • 手や指の発達
    触ったり、つかんだりすることで、手指の器用さが育ちます。
  • 五感の刺激と学び
    食材の感触や匂いを確かめることで、味覚や感性が育ちます。
  • 自己表現の場
    自分でやりたい気持ちを表現することで、自己肯定感や自立心が育まれます。
  • 食べ物とのポジティブな関係づくり
    遊びながら食べることで、食事が楽しいものとなり、食べることへの意欲が高まります。

遊び食べはいつまで続くの?

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遊び食べは、一般的に1歳半〜2歳頃には落ち着いてきますが、成長には個人差があるため、焦らず見守りましょう。食べてくれない・片付けが大変でイライラすることもありますが、対策を取り入れることで楽しい食事時間が作れます。赤ちゃんのペースに合わせて進めていきましょう。

遊び食べを楽しく乗り切る対策

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心に余裕を持ち、片付けの負担を減らす工夫をして、遊び食べを楽しく乗り切りましょう!

集中できる環境を整える

食事中は、おもちゃやテレビが見えないように片付け、できるだけ静かな環境を作りましょう。例えば、食事の前に赤ちゃんと一緒に片付けをしたり、椅子に座ったりすることで「これから食事の時間」という切り替えがスムーズになります。また、足置きのある椅子に座らせ、足がしっかり地面や足置きにつく状態を整えると安定感が生まれ、食べることに集中しやすくなります。足がブラブラしない工夫として、専用の足置きを活用したり、適切な高さの台や箱を置くと簡単に調整できます。

空腹時間を作る

食事の前に体を動かして遊ぶ時間を作ることが効果的です。また、そのまま間食は、次の食事の妨げにならない量を心がけ、与える時間を決めることが大切です。小さなおにぎりやおせんべいなど、手軽に食べられるものがおすすめです。

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食事にメリハリをつける

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赤ちゃんが遊び始めたりダラダラ食べ始めたりしたら、「ごちそうさま」と声かけをして食事を終わらせましょう。「食べる時間」と「遊ぶ時間」をはっきり区別することで、食べる時間は、遊ぶことを切り離して考えやすくなります。食べる時間を20〜30分程度と決めておくのも効果的です。また、栄養が心配になるかもしれませんが、1日や数日単位でバランスが取れていれば問題ありません。成長曲線を確認し、赤ちゃんの体重や身長が順調に伸びているなら安心して見守りましょう。

手づかみ食べを取り入れる

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赤ちゃんが自分で食べられるメニューを用意することで、「遊び」の代わりに「食べる楽しさ」を感じてもらいましょう。手づかみ食べは指先を使うことで手先の発達にも繋がります。スティック状に切り、赤ちゃんが握ったときに先端が少し出るくらいのサイズ(約5〜7cm)にすると持ちやすくなります。柔らかく煮た野菜やスティックパン、フルーツなどを使って取り入れてみましょう。

後片付けをラクにする工夫

後片付けの手間は便利グッズを活用することで軽減します。

  • ・床:レジャーシートは汚れたら拭くだけ。新聞紙・マスカーテープは汚れたら丸めて捨てるだけにする。
  • ・服:防水エプロンやスリーブ付きのビブを使い、汚れや食べこぼしをキャッチする。
  • ・テーブル:シリコンマットを敷き、汚れたらマットごと洗えるようにする。

まとめ

遊び食べは、赤ちゃんが食べる楽しさを知り、自分の手で一口量を調整する力を育てる大切なステップです。多くの食材に触れることで食材への興味や好奇心が高まり、幼児食へのスムーズな移行にも繋がります。便利グッズや工夫を取り入れながら、栄養バランスは数日単位で考え、焦らず赤ちゃんのペースに合わせて親子で楽しく乗り切りましょう。

筆者紹介

コラム筆者アイコン
佐藤翔子 管理栄養士 / フードスペシャリスト
思春期に食で悩んだ経験から「食で悩む人を助けたい」と思い管理栄養士になる。病院や保育園での12年間の経験や自身の子育て経験を活かし、現在は食で悩むママを減らすことを目指し活動中。「食べる楽しさや大切さ」を親子で感じてもらえるよう、Instagramを中心に発信する傍ら、コラム執筆や産後ケア事業で栄養相談も行う。

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